検体検査部門
生化学・免疫
患者さまから採取された血液、尿、体腔液など検体といいます。
生化学・免疫検査はこの検体に含まれている様々な成分を分析して、病気の診断や治療の経過をみていくときの重要な役割を担っています。肝機能、腎機能、糖尿病、脂質、栄養状態、感染症、腫瘍マーカーの検査など、ここでは約80種類の検査項目を下の分析装置で測定しています。項目によって、結果がわかるまでの時間が異なります。場合によっては再検査をすることもありますので採血や検体を採取してから60分程度で結果がわかります。また、正しく検査結果を出すために、装置のメンテナンス、コントロール測定やその結果の確認など管理にも力をいれています。
血液
血液検査
血液中の白血球や赤血球、血小板の数を測定し、貧血や感染症などを調べたり、顕微鏡で形態を観察し、白血病などの血液疾患を調べたりします。
凝固検査
出血傾向などの凝固異常や、抗血栓薬(ワーファリンやヘパリンなど)が効いているかどうかの検査を行っています。
一般検査
一般検査では、主に尿や便、関節液、髄液などを対象に検査を行っています。
検査材料 | 検査内容 |
---|---|
尿 | 尿糖や尿蛋白、尿潜血などの検査や尿中に含まれる結晶や細胞などを機器や顕微鏡を用いて、尿路感染症、泌尿器疾患、糖尿病の診断に必要な腎機能を調べいます。 |
便 | 便に血液成分が含まれていないかを調べ、消化管出血を起こしていないか検査しています。 |
関節液 | 細胞(白血球)数や結晶(尿酸結晶など)、糖などを検査し、炎症の原因を調べます。 |
髄液 | 細胞(白血球)数や細胞の種類(好中球やリンパ球など)、糖などを検査し、髄膜炎の原因(細菌やウイルス、がんや自己免疫疾患など)を調べます。 |
尿検査は侵襲性が少ない検査ですが、いろいろな病気を推測するために有用な検査の一つです。尿の臭いや色調などからも疾患の推測につながることがあるため、下記の表を参考していただき、日頃から尿の臭いや色調を何気なく観察していただければと思います。
気になる場合は受診していただき、医師に相談してみてください。
尿の臭いと病態
臭いの特徴 | 原因物質 | 病態 |
---|---|---|
特有のかすかな芳香 | 代謝産物など | 正常 |
不快な刺激臭、悪臭 | アンモニア | 膀胱炎などの尿路感染 |
果実様の甘い臭い | アセトン体など | 重症糖尿病、飢餓状態など |
ネズミの尿様/カビの臭い | フェニルピルビン酸 | フェニルケトン尿症 |
砂糖を焦がした臭い | α-ケト酸 | メープルシロップ尿症 |
チーズ臭、蒸れた足の臭い | トリメチルアミン | トリメチルアミン(イソ吉草酸)尿症 |
油臭 | チロシン | チロシン症 |
キャベツ/ホップ臭 | メチオニン | メチオニン吸収不良 |
尿の色調の種類とその原因
色調 | 原因 |
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水様透明 | 希釈尿、水分過剰摂取など |
赤~赤褐色 | 血尿、ヘモグロビン尿、ミオグロビン尿、ポルフィリン尿(赤ブドウ酒色)、センナ、ダイオウ、サントニン、アロエ、サルファ剤など |
茶~黄褐色 | ビリルビン尿、ウロビリン尿など |
暗褐~黒色 | メラニン尿、アルカプトン尿、血尿、ヘモグロビン尿、ミオグロビン尿など |
濃黄~橙色 | 濃縮尿、ビリルビン尿、センナ、ダイオウ、サントニン、エパルレスタットなど |
乳白色:白濁 | 脂肪尿、乳び尿、リン酸塩、炭酸塩、膿尿、細菌尿など |
鮮黄(蛍光)色 | 蛍光造影剤(フルオレセインナトリウム)、リボフラビン、アクリフラビンなど |
緑~青色 | インジカン尿、細菌尿、インドシアニン緑、インジゴカルミン、エバンス青、メチレン青、塩酸、アミトリプリンなど |
赤紫~紫色 | 紫色バック症候群など |
輸血
輸血部門は、輸血専任医師の監督のもと輸血専従の臨床検査技師を配置し、安全な輸血が行われるように、輸血関連の検査(血液型検査、不規則抗体検査、交差適合試験など)と輸血製剤の管理業務を一括し、24時間体制で対応しています。当院では全自動輸血検査装置(Erytra)にて検査を行っています。また、コンピュータ上で受血者と輸血製剤の適合性を確認するコンピュータクロスマッチを採用しており、迅速かつ安全な輸血が行えるようにし、緊急的な輸血にも即時対応できるよう体制を整えています。
- 血液製剤の保管・管理
- 輸血製剤の品質を厳重に保つために自動温度記録計付きの専用保冷庫、冷凍庫にて厳重に保管・管理しています。
- 自己血の保管・管理
- あらかじめ自分の血液を採血して貯めておき、手術の時に使用することができます。採血された血液は、専用保冷庫にて保管・管理を行います。