救急・災害診療部
特色
熊本労災病院は、開院以来、八代医療圏のみならず県南地域の二次救急医療の拠点病院として急性期医療を担ってまいりました。八代を中心に、水俣・葦北、人吉・球磨、宇城などの周辺医療圏より、年間およそ3,500台から4,000台もの救急車を受入れているほか、ヘリポートの設置以降は、天草医療圏や熊本医療圏など、より遠方の医療圏からの救急患者についても、積極的に受入れを行なっています。
熊本労災病院救急部の特徴は、日勤帯/夜間帯あるいは平日/休日を問わず、24時間、365日、内科系および外科系の当番医師をそれぞれ配置していることにあります。これにより迅速かつ適切な受入れ、初期診療が可能で、全診療科の各専門医の医療的介入へ円滑につなげることが可能となっています。また当救急部は、いわゆる“持ち寄り型”ともいえますが、疾患によっては、各科専門医が、より迅速に介入できる利点があります。とりわけ高エネルギー外傷などの重症外傷については、外科、整形外科、脳神経外科が連携して対応しているほか、小児科、産婦人科に積極的に参画してもらうことで、熊本県小児初期救急医療病院、熊本県産科中核病院としての機能を果たしています。
そのほか、当救急部としては、八代救急隊との病院滞在型救急ワークステーションや、院内職員や救急隊のほか、保健所、開業医の先生方にもご参加いただく救急症例検討会などをとおして、救急隊はもとより、圏内の救急医療に関わる諸先生方とのパートナーシップをより深化してまいります。救急専門医指揮下の独立した救急チームや専用入院病床の整備など、未完成な点も多々ありますが、従前の体制による機動的な運用でカバーしつつ、今後の継続的進化を目指したいと思います。
最後に、あらためて熊本労災病院救急部の発足をお知らせするとともに、“全ては、救急患者さまのため”、全身全霊を込めて、県南地域の急性期医療を支えてまいる所存ですので、今後ともよろしくご指導・ご鞭撻のほどお願い申し上げます。
救急診療部門
これまで同様、内科的蘇生・集中治療を要する内因性救急疾患への対応に加え、熊本県あるいは厚生労働省第8次保健医療計画を見据え、重症外傷を含む急性期外科的治療を要する救急疾患への対応をより強化して参ります。そのことが、熊本県南部の基幹病院としての、当院の使命であると自認するところであります。
災害診療部門
当県では、熊本地震や令和2年7月 熊本豪雨災害をはじめとする自然災害にたびたび見舞われ、当院では、DMAT (Disaster medical assistance team)を中心に、これらの災害に対応して参りました。また、先のDMAT九州ブロック実動訓練では、訓練の企画・立案より参加し、県南拠点本部としての活動訓練を行いました。 この度、当院では、災害診療棟(手術室、ICU、リハビリを含む)が新たに検察予定です。救急・災害診療部 災害診療部門では、有事の際の拠点として、これまで以上に機能的に活動できるよう、日々精進して参ります。
救急外来受付のご案内
受付時間 | 土日祝日及び夜間(17:00~翌8:15) |
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受付場所 | 救急センター入口 |
急患の方は救急患者出入口をご利用ください。
入院患者さまのお見舞い等でのご利用はご遠慮ください。
スタッフ紹介
救急外科
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飯坂 正義
一般外科部長
救急・災害診療部長- 資格・認定
- 日本DMAT(統括)、熊本県地域災害医療コーディネーター、日本外科学会、日本腹部救急医学会、日本外傷学会、日本Acute Care Surgery学会、日本救急医学会
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武藤 和彦
第二脊椎外科部長
- 資格・認定
- 日本整形外科学会 整形外科専門医・指導医・運動器リハビリテーション医・脊椎脊髄病医、日本脊椎脊髄病学会 脊椎脊髄病専門医・脊椎脊髄外科指導医、JATECシルバーインストラクター、日本DMAT隊員、難病指定医、緩和ケア研修修了
救急内科
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岩下 晋輔
第二糖尿病・代謝内科部長
- 資格・認定
- 日本内科学会認定医・専門医、日本糖尿病学会専門医・研修指導医、日本内分泌学会、日本循環器学会、日本救急医学会
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古川 祥太郎
循環器内科副部長
- 資格・認定
- 日本内科学会認定医、日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会専門医、日本心血管インターベンション学会認定医、日本心臓リハビリテーション学会指導士、日本プライマリーケア学会指導医
外来師長
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中島 真由子
外来師長
その他職種
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外来看護師長補佐×2名
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看護師×8名
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看護助手×1名
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医師事務作業補助者×1名
救急搬送件数
令和2年7月は、豪雨災害による増
発表業績
救急外来
当院における閉鎖孔ヘルニア修復術の工夫 腹腔鏡下腹膜(ヘルニア嚢)翻転結紮法による閉鎖孔ヘルニア修復術について | 第58回 日本腹部救急医学会 総会 2023.3.24(沖縄) 飯坂正義 |
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救急医療体制の整備
第8次保健医療計画の策定に向けて - 第8次(2024年度から6年間)医療計画等に関する検討会 -
医療計画における5疾病・6事業
- 5疾患
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- がん
- 脳卒中
- 心筋梗塞等の心血管疾患
- 糖尿病
- 精神疾患
- 6事業
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- 救急医療
- 災害時における医療
- へき地医療
- 周産期医療
- 小児医療(小児救急含む)
- 新興感染症等の感染拡大時における医療
【高度救命救急センター等の体制整備】高度救命救急センター等の地域の基幹となる救急医療機関は、平時から、重症外傷等の特に高度で 専門的な知識や技術を要する患者へ対応可能な医師・看護師等の人材の育成・配置、院内の体制整備 を行い、地域における重篤患者を集中的に受け入れる役割を担う。また、厚生労働省が実施する外傷 外科医等養成研修事業を活用して、テロ災害発生時等における銃創や爆傷等にも対応できる体制を構築する。
高度救命救急センターとは、広範囲熱傷、指肢切断、急性中毒等の特殊疾病患者に対する救命医療を行うために必要な相当高度な診療機能を有する救命救急センターで゙す。
令和4年度 熊本県保健医療推進協議会 資料 より
Acute care surgery という領域
Acute Care Surgeryは、外傷外科、救急外科、外科的集中治療の3つの領域を担当する新たな診療概念です。これらの領域は従来、一般外科が担当してきました。Acute Care Surgeryが担当する診療領域は、一般外科で日常的に行われている虫垂炎などの外科的common diseaseから、特殊な治療を要する重症外傷外科手術まで非常に多岐にわたります。外科的集中治療を包括したダメージコントロール戦略を実践する能力など、外科学の中でもAcute Care Surgeryならではの特殊性を持つ領域がこれに該当します。
(日本Acute Care Surgery 学会HPより)
ACSで扱う疾患
(第15回 日本Acute Care Surgery 学会学術集会一般演題カテゴリーを参考)
1)Trauma Surgery | 2)Emergency General Surgery | 3)Surgical Critical Care | |||
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D1-01.ダメージコントロール手術 | D1-09.校門直腸損傷 | D2-01.ダメージコントロール手術 | D2-09.腸管血流障害(腸間膜動脈血栓、NOMI等) | D3-01.Dmage control resuscitation | D3-09.創傷管理 |
D1-02.心損傷 | D1-10.腎・尿管・膀胱・生殖器損傷 | D2-02.急性虫垂炎 | D2-10.腸閉塞 | D3-02.循環管理 | D3-10.栄養管理 |
D1-03.大血管損傷 | D1-11.骨盤損傷 | D2-03.急性胆嚢炎 | D2-11.ヘルニア嵌頓 | D3-03.呼吸管理 | D3-11.周術期管理 |
D1-04.肺・胸壁損傷 | D1-12.Non-operative Management | D2-04.急性膵炎 | D2-12.Oncologic Emergency | D3-04.急性血液消化療法 | D3-12.その他 |
D1-05.肝損傷 | D1-13.Open Abdomen Management | D2-05.食道破裂 | D2-13.教育 | D3-05.肺血症 | |
D1-06.膵、十二指腸損傷 | D1-14.外傷診療システム | D2-06.上部消化管穿孔 | D2-14.その他 | D3-06.凝固障害 | |
D1-07.膵損傷 | D1-15.教育 | D2-07.急性消化管出血 | D3-07.深部静脈血栓症 | ||
D1-08.腸管・腸間膜損傷 | D1-16.その他 | D2-08.大腸穿孔 | D3-08.熱傷 |
Acute care surgery を実践するためには、重症外傷に対する治療戦略にも精通している必要性があることから、
令和4年度外傷外科医等養成研修(日本外科学会専門医制度委員会主催・厚生労働省)を受講しました。
- 厚生労働省による委託で、日本外科学会が実施
- 2017年12月より年1回実施
- 有事の際に、登録医・登録看護師として召集され、活動する(可能性がある)
令和4年度外傷外科医等養成研修
厚生労働省の「令和4年度外傷外科医等養成研修」に以下の医師・看護師が受講・修了しております。
- 熊本労災病院
- 飯坂 正義(医師)
白石 美佳(看護師)