熊本労災病院

消化器内科

 当院の消化器内科では、千代永卓先生、市川亮先生、冨口純先生、米田暁先生、山岡哲秀先生、安倍悠乃先生の6人体制です。当科の基底ベッド数は41ですが、多いときは60名を超えることもあります。千代永先生は胆膵専門のため、ERCPや超音波内視鏡など胆膵系の検査・治療が増加しています。Spy-glassという結石を破砕できる胆道鏡を導入したので、胆管結石を直接観察して破砕・治療も可能です。閉塞性黄疸や胆嚢炎におけるPTCDやPTGBDも行っています。胆膵悪性腫瘍に対する外科的治療が困難な場合は、既存の化学療法のほか、肝癌に対するトレメリムマブ+デュルバルマブ併用療法、治療胆道癌にものデュルバルマブ治療も可能です。

 緊急の上下部内視鏡検査の他、NBI・拡大内視鏡、上下部消化管ESD、小腸/カプセル内視鏡、CTコロノグラフィー、食道胃静脈瘤治療、胃瘻造設・交換などは通常業務として行っています。また熊大消化器内科より週一回松野健司先生にESDのご指導を頂いています。

 肝臓専門外来を毎日行っており、外科、放射線科と共に「肝疾患センター」を運営しています。ほぼすべての肝疾患を扱っていますが、B/C型肝炎のコントロールがほぼ完全に可能となった現在、院内外での掘り起こし・啓発活動に力を入れています。特に当科では、検査部で検出したHBs抗原/HCV抗体陽性者はすべてチェックして、必要であれば他科の患者であっても消化器内科を受診するよう担当医または患者に通知するシステムを2018年より確立しています。丁寧で持続的なフォローアップを心がけて肝癌を早期発見し、手術・ラジオ波・TACEによる治療につなげています。さらに肝癌に対する分子標的治療薬ソラフェニブやレンバチニブ治療のほか、免疫チェックポイント阻害剤の新薬デュルバルマブ+トレメリムマブ、アテゾリズマブ+ベバシズマブ併用。ラムシルマブ、レゴラフェニブ、カボメティクスなど最新の治療が可能です。消化器外科医のほか移植外科の林田信太郎先生、小児外科の大矢雄希先生など経験豊富なDrがおられるので肝切除は充実しています。

 治癒切除困難な悪性腫瘍も増えていますが、病棟消化器カンファレンス、外科・放射線科・病理との合同カンファレンス、HCCカンファレンス、キャンサーボードにて多角的な目で治療方針を決定しています。ポート造設による最新の化学療法を積極的に導入し、情報の共有が早く密で適切な医療を提供しています。学会・研究会にも多数参加しており、JDDWや地方会のほか、ボストン、シンガポール、バンコク、上海、バリ、台湾、香港の国際学会でも発表しました。今年熊本で開催された、消化器病学会/消化器内視鏡学会九州支部例会では6演題を発表しました。

 田中靖人教授が熊大消化器内科に赴任されて以来、大学医局は臨床と研究の両輪が廻り始めているように思われます。創薬に関わる研究など夢のあるテーマをリードされておられ、医局の明るい活気を感じるのか若い人たちも入局を希望する人たちが増えているようで、毎年活力ある若い消化器内科医師を送って頂く医局に大変期待しています。

スタッフ紹介

  • 佐々木 雅人

    副院長 / 内科部長
    消化器内科部長
    がん総合診療センター長
    肝疾患センター長

    佐々木雅人
    副院長・内科部長・消化器内科部長 佐々木雅人
    資格・認定
    日本消化器病学会 消化器病専門医・指導医、日本肝臓学会 肝臓専門医・肝臓暫定指導医、日本内科学会 認定内科医、日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医、難病指定医、緩和ケア研修会、臨床研修指導医講習会終了
  • 千代永 卓

    内視鏡科部長

    千代永卓
    内視鏡科部長 千代永卓
    資格・認定
    日本内科学会 認定内科医、日本消化器病学会 消化器病専門医、日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医・指導医、難病指定医、緩和ケア研修会修了、臨床研修指導医講習会終了
  • 冨口 純

    第2消化器内科部長

    冨口純
    第2消化器内科部長 冨口純
    資格・認定
    日本内科学会 認定内科医、日本消化器病学会 消化器病専門医、日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医、日本肝臓学会 肝臓専門医、難病指定医、緩和ケア研修会修了、臨床研修指導医講習会終了
  • 米田 暁

    消化器内科医師

    米田暁
    消化器内科医師 米田暁
    資格・認定
    緩和ケア研修会修了
  • 山岡 哲秀

    消化器内科医師

    山岡哲秀
    消化器内科医師 山岡哲秀
  • 安倍 悠乃

    消化器内科医師

    安倍悠乃
    消化器内科医師 安倍悠乃
    資格・認定
    緩和ケア研修会修了

診療実績(令和5年度)

入院患者数 新患者数 1,228人
延患者数 14,706(40.2人/日)
外来患者数 新患者数 1,717人
延患者数 13,830(56.9人/日)

治療実績(令和5年度)

手術(内視鏡)件数

食道ESD 3件
胃ESD 17件
EIS/EVL 4/13件
大腸EMR/ポリペクトミー 211件
大腸ESD 28件
胃ろう造設術 29件

検査/治療実積

上部内視鏡検査 2,717件
下部内視鏡検査 1,668件
ERCP 276件
EUS 263件
EUS-FNA 20件
カプセル内視鏡 6件
小腸内視鏡 8件

超音波検査/治療件数

腹部超音波 4,124件
腹部造影超音波 36件
肝生検 19件
PTCD/PTGBD 9件
経皮的RFA/PEIT 1件